7章 デザインのきほん

社内報デザインの基礎知識

POINT

  • デザインとは、課題を解決するための手段である
  • “いいデザイン”のカギ、
    「アイキャッチ」「バランス」「文字」「色づかい」を知ろう

ねえねえ、デザイナーさん!
ここにスキマがあるから文章追加で!

余白をみつけては原稿追加するのやめてください…。
ホワイトスペースは大事なんスよ

??

しっかたないなァ。
特別に、デザインの基本を教えてさしあげましょう

“社内報のデザイン”ってなに?

デザインという言葉は、テレビや雑誌、書籍などで日常目にする身近なものです。
ですが、改めて「デザインすることの目的って何?」と聞かれたら、ちょっと答えづらいのではないでしょうか?

キレイ、オシャレ、カッコイイ、カワイイ、といった仕上がりは、表現の結果に過ぎません。
実は、本来の目的は「何かしらの課題を解決すること」にあります。
「みんなに見てもらいたいんだけど、どうやって伝えればいいだろう?」
「むずかしいイメージをカタチにするにはどんな方法があるだろう?」
抱えている課題に対して、解決策を立て、それを実際に具現化すること。
それこそが、デザインの目的。

つまり、社内報のデザインとは
「社内報で伝えたいことの課題を、表現で解決する」
ことなのです。

“いいデザイン”にするために 4つのポイント

目的がわかったところで、課題に沿った効果的な解決=いいデザイン のポイントをご紹介します。

アイキャッチの重要性

アイキャッチとは、読者の目をひく「フック」部分のこと。
写真やイラスト、文字(コピー)などなんでもOKです。
印象的なキャッチをきっかけに、興味をもってもらい、中身に誘導していきます。
まさに「ツカミはOK!」という感じ。

注意したいのは、誌面で伝えたいイメージの象徴であり、入り口になる要素なので、高いクオリティが必要であること。
たとえば、メインで大きく載せる写真が、逆光で真っ暗だったら、ちょっと残念ですよね。
企画の内容や、使える素材と相談しながら、何をアイキャッチにするかを決めましょう。

バランスとホワイトスペース

読者を惹きつけたら、肝心の内容を読んでもらうため、全体のレイアウトに気を配りましょう。
そこで重要なのが、全体のバランスと、ホワイトスペースの取り方。

まず、バランスについて考えてみましょう。
そもそもヒトは均整のとれたデザインを美しいと感じる傾向があります。
そこに加えて、内容の優先順位(バランス)を整えることで、読み手が迷わずに情報にたどり着けるという効果もあります。
つまり、“バランスがとれている”というのは、重要度の階層がきちんと整頓されているということなのです。

次に、ホワイトスペースです。
冒頭のやりとりのように「余白が空いているから、追加しちゃえ!」と、入るだけ詰め込んだりしていませんか?
この場合の余白は、空きスペースではなく、デザインにおいて重要な要素のひとつ。
「ホワイトスペース」と呼んだりします。
上手く活用することで、注目させたい部分を強調したり、洗練されたイメージを付与したりすることができます。
かといって、明らかにスカスカに見えてしまうのはよくありません。
悩んだときは、デザイナーに相談してみましょう。

文字の書体と読みやすさ

文字のかたちの種類のことを「書体」または「フォント」と呼びます。
代表的なものは、「ゴシック体」と「明朝体」。
この2つを基本として、WordやPowerPointといったソフトに内蔵されているものや、販売されているもの、個人で作成したものなど無数の種類があり、いまも増え続けています。
また、文字を読むことが苦手な人のために配慮された「ユニバーサルフォント」もあります。

では、無数にあるものを、どうやって使い分けるのでしょうか?

社内報の制作を例に挙げるなら、
・経営層からの熱いメッセージ → 太く力強い書体
・親しみやすく、リラックスさせたいページ → 手描き風の書体
など、醸し出したい雰囲気によって、使い分けることができます。
文章と、表現したいイメージとが一致することで、強い効果を発揮するのです。

注意したいのは、あまり多くの種類を使いすぎないこと。
種類が多すぎると、情報それぞれが個性をもってしまい、ひとつの記事としての統一感が生まれません。2~3種類の書体にとどめ、まとまりのある誌面にしましょう。

文字の大きさや、1行あたりの文字数も、読みやすさの観点では重要な要素です。
一般的に、ひと息で読み切れる量は25~35文字ほどといわれています。
あまりにも長すぎると、どこまで読んでいたか、途中でわからなくなってしまいますよね。
また、タイトル・見出し・本文といった、各要素の文字の大きさにも適切なメリハリをつけましょう。

色づかいのコツ

最後に、色づかいについてです。
色は、さまざまなイメージを喚起させます。
青は、しゃきっと洗練。緑は、自然やリラックス。白は、清潔や誠実。
あるいは、自社のコーポレートカラーが使われていたら「これは会社の話だな?」と即座に想像することでしょう。
フルカラーの印刷物であれば、複数の色が誌面内で組み合わされることがほとんどですが、この時、色数を絞るのがカギです。
主張の強い色をいくつも使うと、ごちゃごちゃとした雰囲気になってしまいます。効果的な色を選択して、伝えたいイメージに寄り添いましょう。

社内報を外部の制作会社に依頼する際、実際にデザインをするのは、プロのデザイナーです。
ですが“いいデザイン”にするためのポイントを知っておくことで、
「こういうふうに表現したい!」という自分のイメージを、明確に共有することができます。

原稿がデザインになった瞬間の感激は、他の業務ではなかなか味わえない、社内報担当者ならではの体験です。
読者を惹きつける素敵なデザインを、たくさん作っていきましょう。