11章 リニューアル・創刊

なぜ今、リニューアル?社内報の発行目的を改めて考えてみよう

POINT

  • 社内報には「得意なこと」「不得意なこと」がある
  • 課題は大きなものから小さなものまで。ごちゃ混ぜにしない
  • 世の中には情報が溢れている。社内報の誌面でしか語られないストーリーを

上からの指示で、社内報がコスト削減の対象になってしまったわ。 いま一度、社内報の目的などを見直していかないとね

そうですね。社内報は会社にとって大切な経営ツールですから。 目的、役割、編集方針など整理していきましょう

あら!成長したじゃない。そうそう、目に見える部分だけに飛びつかないようにね

えへへ。褒められちゃった。社内報ってとても価値のあるものだなって。 せっかくならもっとよいツールになるように、先輩一緒にめざしていきましょー!

1.なぜ今、リニューアル?

冒頭のやりとりにも出てきたように、「社内報にかかるコストを削減せよ!」と、突然雷のごとく方針がくだされることがあります。一方、「マンネリしてきたし、企画とか、デザインとか変えようかな」と編集メンバー内で、なんとなくリニューアルの話が持ち上がることもあります。

そんなとき、最初に考えていただきたいのが社内報を発行している目的です。

社内報は、社内コミュニケーション施策のひとつ。社内報を発行している目的が必ずあります。その上で、なぜ今、リニューアルが必要なのでしょうか?

社内報(ここでは、紙媒体とします)には、得意なことと苦手なことが存在します。

●得意なこと

情報の伝達

ストーリー(ものがたり)、エピソードの継承

長期的なつながり(じわじわ効く)

業績への間接的な貢献

●苦手なこと

業績への直接的な貢献

情報の網羅性

費用対効果の立証

即時性

双方向でのコミュニケーション

上記のような得意・不得意を考えながら、発行目的を確認していきましょう。

2.「会社の動き」と「社内報の課題」を切り分ける

編集メンバーで最近の「会社の動き」にはどんな変化が訪れているか、話し合ってみましょう。

・社長が交代した

・新しい中期経営計画がスタートした

・業績が伸びない

・自社も含め、業界全体が縮小しているようだ

・新しいメンバーが続々入社してくる など

次に「社内報の課題」について、話し合ってみましょう。

・企画がいつも定番でマンネリしてきた

・デザインが古臭い

・どうも読まれていないと感じる

・取材や撮影に協力してもらえない

・制作する人手が足りない など

こんなふうに、まずは「会社の動き」と「社内報の課題」に切り分けてみると、

リニューアルすべきポイントが整理されてきます。

3.FirstかOnlyか

社内報(紙)が登場したその昔、社内情報を伝達・共有できるメディアはありませんでした。現在はどうでしょうか?メール、WEBサイト、動画、SNSなどに情報はあふれています。

たとえば紙の社内報に、即時で伝えたい情報を載せたとしても、社員はすでに知っていて、すっかり古い話になってしまっている、なんてことはよくある話。「First」な情報は不向きなのです。

そこで考えるべきは、前述した

ストーリー(ものがたり)、エピソードの継承

長期的なつながり(じわじわ効く)

といった、社内報の「得意なこと」を活かした内容へのシフトです。

それが、「Only」な情報を載せる、というもの。

たとえば、お菓子の新商品発売。開発されるまでの裏側のストーリーだったり、編集部調べで業界内の新商品全部食べてみたランキングだったり、社内報の誌面でしか語られていない「Only」な内容に、読者もくぎづけになるのではないでしょうか?

4.体制も一緒にアップデート!

社内報のリニューアルを考えるとき、つい忘れてしまいがちなのが「体制の見直し」です。

・社長や上層部と、社内報の掲載内容について、毎号すり合わせできていますか?

・企画のネタは、あなたの耳に自然と入ってきていますか?

・拠点の方たちは、社内報づくりに協力的ですか?

・制作進行は、うまくできていますか?

上記は体制に課題のある可能性があります。

読まれている社内報をつくっている企業ほど、体制づくりに余念がありません。

社内報を効果的なツールにしていくために、一緒に体制もアップデートしていきましょう。