5章 原稿執筆のきほん

原稿執筆、きほんの流れとコツ

POINT

  • 原稿」には、構造と、それぞれの役割がある
  • いきなり書き始めるのではなく、
    「誰に」「なにを」「どうやって」の準備が大切
  • 原稿が書けたら、必ず見直しをして、質と正確性を高めよう

うううぅ~ん

朝からずっと唸っているけど、どうしたの

原稿の出だしが思いつかなくて…。
中身もどういう順番で書けばいいのやら。
そもそもどういうテンションがいいですかね。ノリノリ? キッチリ??

さては、プロット作りをサボったわね?
見切り発車じゃ、書くのがよけい大変よ

原稿の構造

ひとくちに「原稿」といっても、文章のパーツにはそれぞれ呼び方と役割があります。
自分が書くとき、あるいは誰かに書いてもらうときも、必要な原稿をきちんと揃えるために、基本の構造を覚えておきましょう。

①タイトル:ページのメインフレーズ。連載の場合、コーナータイトルが入ることも。
②サブタイトル:①の補足タイトル。無くてもよい。
③リード:企画の趣旨説明や概要など、文字通り、本文へリード(誘導)するための文章。
④見出し:原稿のブロックごとのタイトルにあたるもの。
⑤小見出し:④のブロックを細分化したかたまりに付ける見出し。
⑥本文:メインとなる読みもので、最もボリュームが大きい。“原稿を書く”といえば、主にここ。
⑦キャプション:図や写真に添えて内容を説明するもの。

原稿執筆は、準備が大事。

企画が決まり、取材も終わり、資料も揃った。よし、書くぞ!
…と、気合を入れて書き始め、すぐに詰まってしまったことはありませんか?
原稿を作成するときは、事前の準備がとても大切です。

Who? 誰に向けて書くのかを念頭に

社内報の原稿は、ターゲット読者を想定して作成する必要があります。
そんなのあたりまえ!と思うかもしれませんが、執筆に夢中になっていると、実は忘れがち。
新入社員向けの記事なのに、専門用語ばかりの難しくてカタい文章になってしまったり。
忙しい現場の社員に読んでほしいのに、長文がずらずら並んだ超大作になってしまったり。
内容の質が高くても、ターゲット読者に合った文章になっていないと、十分に伝わらないのです。

What? 伝えたいポイントを決めておこう

あれもこれも伝えなきゃ!と、手に入れた情報をまんべんなく盛り込むことは避けましょう。
たとえば、インタビュー記事。
いくら面白い話が聞けたからといって、一言一句のこらず原稿にしたり、テーマと関係のない話題まで書き記したりするのでは、とても紙面が足りません。
企画の趣旨のもと、記事を通して、最終的に伝えたいポイントを定めておきましょう。

How? プロットを立て、完成イメージを固めよう

プロットとは「筋書き』「構想」といったような意味で、いわば設計図。
書き上がりを想定し、文章全体の組み立てを事前に決めておくもので、プロのライターでも必ず行う工程です。
決まったやり方はありませんが、「起承転結」をベースにするとわかりやすいでしょう。
どんなエピソードを、どの順番で提示し、どんな結論でまとめるか。
それらをあらかじめ決めておけば、実際の執筆もスムーズに進められるはずです。

推敲は欠かせない

原稿が書けたら、必ず見直しをしましょう。
わかりにくい表現を練り直したり、間違いがないか確認したりするこの作業を「推敲」といい、質の高い原稿を仕上げるためには欠かせない工程です。
ですが、自分で書いたものを自分で改めて見直すことは、目が慣れてしまっているぶん、なかなか難しいもの。
そこで、推敲に役立つ簡単な方法を2つご紹介します。

方法①時間をあけて読み直す

原稿が書けたら、そのままひと晩おいて、翌日に見直してみましょう。
執筆中に煮詰まっていた思考がすっきりして、新鮮な気持ちで、自分の原稿と向き合うことができます。

方法②誰かに読んでもらう

周囲に協力してもらえるひとがいれば、頼んで、いちど目を通してもらいましょう。
予備知識のない、初見の状態だからこそ
「ここはわかりにくいかも」
「伝えたいポイントって、ここ?」
など、作者が意図したことがきちんと伝わっているかどうか、確認してもらうことができます。

文章を書くための基本をご紹介しましたが、どんなテーマであっても、また、どんな形式であっても、ベースとなる考え方は同じです。

原稿は、あなたの作品でもあります。
ぜひ自信をもって、楽しんで執筆をしてみてください。